鬼神のごとく@西京極(追記完了)。
←西京極球場

第一試合の途中。
ライト側の照明塔の真上を、
飛行船が南の方へ飛んで行きました。
忙中閑あり。

◇関西学生野球秋季リーグ戦 第8節1回戦◇

《第一試合》 近畿大学 3−2 関西学院大学 (延長11回)

近 大 000 020 000 01=3 H12 E0
関 学 000 000 200 00=2  H7 E2


近大:巽、谷口、櫻井−有竹   関学:宮西、道下、宮崎啓、池田−清水

最終第8節が始まるまでに、
優勝の行方は関大、近大、関学の3校に絞られた。
関大はすでに8勝3敗の勝ち点4でシーズンを終えていて、
近大は残り2試合を連勝すれば9勝3敗1分の勝ち点4で優勝決定、
関学は残り2試合を連勝すれば関大と同成績で並び、プレーオフになる。
その近大と関学が最終節で直接対決。
1つ負ければそれで終わりという、トーナメントのような戦いである。


関学は宮西尚生(3・市立尼崎)、近大は巽真悟(2・新宮)の先発で始まった。
宮西は、初回冒頭から遊び球などないかのように
どんどんストライクを投げ込んでくる。
本人はそんなつもりは無いのだろうが、何をそんなに急いでいるのか?と
思えてしまうほど早く勝負に出たがっているように見えた。

その宮西から毎回安打を打ちながら1点が遠かった近大は、
5回表1アウト一、二塁、津田慶久(4・履正社)の適時打で先取点。
2アウト後、森志朗(3・岡山南)の内野ゴロ失策の間にもう1点を加える。

近大先発の巽だが、高校時代は球は速いがやや荒れ気味な印象があった。
(2004年7月24日の日記でも少し触れています)
近大に入って初めて観たが、腕の振りの良さは変わっていない。
6回まで被安打1の好投、関学打線を翻弄していた。

しかし7回裏、その巽が捕まった。
1アウトから4番の清水誉(4・小野)が中前安打で出ると、
冨山佑希(4・関西学院)、浜田翔吾(3・関西学院)も安打で続いて1点を返す。
松野悠大(4・三重)にも安打が出て4連打、
そして代打の門田隆志(3・今治西)は一塁へスクイズを成功させて同点に。
2アウトながらなおニ、三塁に走者を置く好機だったが、
巽が踏ん張って逆転を阻止。

絶対に負けられない戦いは延長戦へ。
11回表、近大が2アウト二、三塁の場面を迎えると、
関学は宮崎啓佑(1・三本松)から池田弘(4・浪速)へスイッチ。
近大も代打に堂浦大輔(3・智辯和歌山)を送る。
堂浦は池田の3球目をライトへ運び、これが決勝打に。
関学の優勝への望みを断ち切るような一打となった。



《第二試合》 同志社大学 2x−1 立命館大学 (延長20回)

立 命 000 000 000 000 000 001 00=1  H13 E4
同 大 000 000 000 000 000 001 01=2x H10 E1


立命:金刃、大橋、大島一−西川、乗替  
同大:佐川、山本昌、宝田−磯部、佐谷、近藤健

立命の先発はエースの金刃憲人(4・市立尼崎)。
金刃が先発した試合は何度も観てきたが、
立命のユニフォームを着て投げているところを実際に観るのは
これが最後かも知れない、という思いがあった。
最終シーズンの立同戦、どんな投球を見せてくれるか。

その期待に違わず立ち上がりからビシビシと投げ込んで来る。
スコアを付けながら、三振を奪うたびに自然と感嘆の声が漏れる。
そして何よりもフィールディングの良さ。
私がこれまで観た中では最高に近い投球を見せていたと思う。

同志社は2回生ながら今季も“奮投”を続ける佐川仁崇(2・大阪桐蔭)が先発。
勢いのある投球は観ていてとても気持ちが良い。
安打は許しながらも要所を締めるところは金刃にも引けを取らない。
9回表、途中から出場している柳田一喜(1・神港学園神港)の三塁打のあとも
きちんと抑えていた。

9回を終わって、金刃は被安打3、与四死球2、奪三振9。
佐川は被安打7、与四死球2、奪三振11。
しびれるような投手戦はともに無失点のまま、
第一試合に続いて延長戦へ。

佐川は10回裏の攻撃で代打を送られたために降板したが、
金刃の力投はまだまだ続く。
しかも回を追うごとに球威が増している気がする。
投げる瞬間に歯を食いしばったその顔は、まるで鬼神が乗り移ったかのよう。
そして、マウンド上で見せる不敵な笑みにも似た表情を双眼鏡越しに見て、
(本人は笑っているつもりでは無いだろうが)
私は奈良・興福寺の阿修羅像を一瞬思い浮かべたものだった。

私のスコアメモは12回まで。
その裏に続けようか一瞬迷ったが、次のメモを用意する。
2枚目に達したのはこの夏の甲子園の決勝以来だ。

同志社も、11回から登板した山本昌英(3・箕島)が粘り強く投げ、
16回からは宝田将志(2・旭川東)へとつなぐ。
立命、同志社とも走者を得点圏まで進めながらあと一本が出ない。

イニングは進んで18回表、先頭の西川喬将(4・立命館宇治)が安打で出塁。
金刃が犠打で送り、川端裕也(4・神港学園神港)の安打で一、三塁に。
宝田の暴投で川端が二塁へ進むと、
藤原大輔(2・立命館宇治)がスクイズを成功させてようやく均衡が破れた。

その裏、金刃はまず土井一也(3・徳島商業)からこの試合20個目の三振を奪う。
しかし続く佐谷崇行(3・小倉)に二塁打が出て、辻康裕(3・広陵)が代走。
代打の秋吉洋兵(4・東筑)に死球を与えると、
阪田誠(4・倉敷商業)が内野ゴロ失策で1アウト満塁。
ここで藤本和隆(3・郡山)は金刃の4球目をライトへ運び、これが犠飛となって同点。
延長戦はまだ続く。
場内放送が、20時を越えて新しいイニングに入らないことを告げる。
(正直言えば、私は延長のリミットは4時間越えだと勘違いしていたのだった)

立命は19回先頭から大橋勝幸(3・智辯学園)が登板。
尾上幸也(4・玉野光南)が3本目の安打を放ったが、結局無得点。
手元の時計では19時58分、20回がこの試合の最終イニングになる。

20回表は西川が安打と盗塁で二塁まで進むも後続無く、
立命の勝利はここで消えた。
その裏、同志社はこの回から登板の大島一修(2・京都成章)に対して、
先頭の代打・谷英明(2・杵築)が失策で出塁。
大崎健士郎(2・岡山城東)が安打で続き、サヨナラの好機が広がる。
阪田は三塁ゴロ併殺に倒れたが、三塁に走者を残して藤本が打席に。
藤本の当たりは左中間に落ちる安打となって谷がサヨナラの本塁へ。
5時間にわたる大熱戦(公式記録では4時間59分)にピリオドが打たれた。


私が球場で観戦した記録に残る試合の中で、最長の延長戦は18回。
(1997年9月6日・関西六大学@西京極 京産大2−2大経大)
まさか20回に達しようとは夢にも思わなかった。
しかも17回までゼロ行進、これ以上ないほどの素晴らしい投手戦。
2試合続けての延長戦は観ていて疲れたのは確かではあるが、
この何とも言えぬ充実感はどう表現して良いものやら・・・
筆舌に尽くしがたい西京極の一日だった。

コメント

けいたん
けいたん
2006年10月22日23:13

今日は2試合ともすごかったんですね。
(私は1試合が終わるとすぐに球場後にしたんですが)

この飛行船がまさにここを通っている時、私も携帯カメラ
構えてしまいました。

福岡屋あるじ
福岡屋あるじ
2006年10月23日22:08

やはりいらっしゃっていたのですね。
いつも以上にお客さんが多くて探しきれませんでした(^^;

飛行船ですが、一緒に観ていた友人が気付いて教えてくれまして、
カメラを構えようとしているうちにだんだん遠ざかって行って
やっとこさ撮ったのがこの写真です。
伊丹空港近くの豊中ローズとはわけが違います(笑)

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