山と雪の日記。

2005年5月20日 読書
大正12年(1923)1月17日、立山へのスキー登山の帰途に猛吹雪のため遭難、
25歳11ヶ月の短い生涯を閉じた板倉勝宣の文章を集めた本である。

この本は、板倉が山岳関係の雑誌に寄稿していた文章を集めたもので、
その他書簡や論文なども含めて、板倉の死の翌年に『板倉勝宣遺稿』として
最初は出版されたそうだ。
その出版については板倉の仲間内に配られたに留まり、
公に出回るものではなかったという。
ところが、外部から『遺稿』を求める人々が出てきて、
プライベートの度が強い書簡などを除く形で『山と雪の日記』という題で
改めて昭和3年(1928)に出版された。
『山と雪の日記』とは、この本のある一章の題から取られている。

文章そのものは流れるような、というわけではないのだが、
板倉自身の非常に純粋な心情がその文章の中から表れてくるようだ。
当時の日本で、スキーを堪能できたのは裕福な家庭の子弟に限られていただけに
(板倉は旧制の学習院中・高から北海道大学へ進んでいる)
悪く言えば“お坊っちゃん”らしい表現も出てくる。
しかし、それが読んでいて全然嫌味に感じない。

『山と雪の日記』として市場に出てから77年。
現在は文庫本の体裁で一般書店の棚にあり、
昭和3年に出た本の復刻版も古書店で見かけた。
元々は同人誌然とした個人の遺稿集(の一部)であり、
板倉が生きていたなら出せなかったと言われるようなこの本が、
今でもこうして読まれている。
板倉勝宣が仲間に愛される非常に魅力的な人物であったことが想像できる。

私は、山にも雪にも縁のない男である。
スキーなんて一度も行ったことは無い。
そんな私がなぜこの本を読もうと思ったのか?
実は、私と板倉勝宣はほんの僅かながらつながりがあることが
先日偶然解ってしまったからである。
詳細はここでは書かない。
年代から言って古書店にしか置いてないだろうと思っていたのが、
難波のジュンク堂で見つけて思わず感激した。

カバンの中にいつも入れて、電車の中で折に触れて読んではいるが、
スキーに行っても私のことだから骨折やら遭難やらしかねないので(苦笑)

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