あらかじめ決められた時刻のとおりに列車が運行されるのは、
日本の鉄道にとってはごく当たり前のことと思われている。

これはあくまで想像の域ではあるが、
その路線の駅間距離や、勾配、曲線の有無、客の乗降にかかる時間など
様々な要素が考慮されて列車の運行図表(ダイヤ)が組まれているはずである。

乗客をいかに速く、安全に目的地の駅まで運ぶか。
それが追い求められるのは当然のことだとは思う。
しかし、速さばかりが強調されるようになって、
列車を走らせる側に無理を強いるようなダイヤが組まれてはいないだろうか。

再三にわたって報道されていることではあるが、
“アーバンネットワーク”と呼ばれるJR西日本の大阪近郊各線は、
相互乗り入れなど便利である反面、非常に複雑な構造である。
或る線が事故などで遅れると、その影響が他の路線にも大きく及んでしまう。
例えば、こんな感じ。

福知山線(JR宝塚線)で事故が発生する
        ↓
尼崎駅での接続の関係で東海道線、JR東西線、学研都市線のダイヤが乱れる
        ↓
東海道線に乗り入れている関空特急“はるか”のダイヤが乱れる
        ↓
“はるか”が走る大阪環状線、阪和線のダイヤが乱れる
        ↓
大阪環状線に乗り入れている“大和路快速”のダイヤが乱れる
        ↓
関西線(JR大和路線)のダイヤが乱れる

つまり、ひとつのわずかな遅れが全体の大きな遅れにつながってしまう。
さらに、速さを最優先されたダイヤを厳密に守ろうとするために、
秒単位の遅れが生じても厳しい注意を受けることになる。
それが運転のプロフェッショナルとしては当然のことかも知れないが、
私だったら到底堪えられない。

何年か前には、ダイヤが乱れていた大阪環状線のある駅で、
乗降に戸惑う客の列をバッサリ切るように扉を閉めたのを見たことがある。
そんな極端な例はともかくとして、
駆け込み乗車に対する注意の車内放送が、客の安全を心配するよりも
「ダイヤが乱れてこっぴどく怒られるのは俺なんやぞ!」
というニュアンスで伝わってくるのは私だけだろうか。
(大和路快速のドア近くに居ると、それがまた大きく聞こえるんだなぁ)

締めるところはきっちり締めなければいけないが、
ずっと締め付けてばっかりだといつか潰れてしまう。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索